パラメトリック連鎖解析

 連鎖解析とは,例えば疾患の状態を規定している遺伝子座と染色体上のマーカー遺伝子座との連鎖がどの程度あるのかを手がかりにして,染色体上の原因遺伝子の存在領域を絞り込んでいく遺伝統計学的手法の1つである。特に遺伝の形式を仮定して行う連鎖解析手法として,パラメトリック連鎖解析がある。遺伝疾患のようにある程度大きな家系内に複数の罹患患者が生じるような場合は,遺伝形式をある程度特定(予測)する事ができ,また遺伝子型相対危険度(原因遺伝子を持つ個体での発症率と,持たない個体での発症率の比)が大きいと推測できる。このような条件においては,パラメトリック連鎖解析は非常に有効な解析手法となりえる。これは,パラメトリック連鎖解析では遺伝形式や浸透率が仮定と合わないと有効な結果が得られない反面,これらが特定できる疾患では,他の解析方法に比べて,比較的少ないサンプル数で有効な結果を出すことが可能であるためである。このパラメトリック連鎖解析では他の連鎖解析手法と同じく,尤度を用いた最大尤度法(最尤法)を用いて解析を行う。

 連鎖解析においては,事象(家系での遺伝子の伝達および疾患の発症)は既に起こってしまったことである。よって尤度を用いて観察されたデータ(各家系メンバーの持つ対立遺伝子対と罹患パターン)を持つ家系が生じる「確からしさ」を求めることになる。そして,この場合の「ある条件」とは,調べたマーカ遺伝子座の各メンバーの持つアレルと,疾患座位との間の組み換え割合を「θと仮定したとき」ということである。パラメトリック連鎖解析の単点解析(二点解析)では尤度をこのθの関数として表記する。その上でθを0(完全連鎖=疾患原因遺伝子がマーカ遺伝子そのもの)から,0.5(自由組み換え=疾患遺伝子はマーカー遺伝子とは連鎖が全くない)の間で動かし,最も尤度が大きく(すなわち最も確からしく)なるようなθを求めていく。その上で,染色体上の多数のマーカー遺伝子座について有意にθが0.5と異なるマーカ遺伝子座を探索していく(mlink program)。

 以下に2つの具体例を持って示す。簡単にするために,各疾患遺伝子の遺伝形式による浸透率(penetrance)をNNのときに0,NA,AAで1(0で非発症,1では完全に発症)とする(すなわち常染色体完全優性遺伝の遺伝形式とする)。また,疾患座位での疾患遺伝子をA,正常をNとする。最初に手計算によって,例に挙げた疾患家系での対立遺伝子のパターンを持つ尤度を計算してみる。後ほどコンピュータープログラムによる尤度計算法を紹介し,このとき,再びこれらの家系について計算し両手法で算出された値を比較してみたいと思う。


 手計算による尤度計算と最尤法の適応
[例1]
 現在,最もよく用いられるプログラムでは家系の一番下(子孫側)の核家族から計算を行い,順次祖先側の核家族に向かって尤度計算を行っていくという手順をとる(Elston-Stuart algorithm)。

 図1に示される家系1における観測データの尤度を計算する。尤度計算においては,まずより子孫側のID4を父親,ID5を母親とする核家族(親と子供だけからなる基本単位)内での尤度を考える。この家系内での遺伝子パターンを考える為には,先祖側につながる親,(ID4の罹患男性)のハプロタイプ(配偶子)について,可能なものを場合分けして考えてみる。次に各アレルがどのように伝わっていったのかを考え(複数の可能性がある場合はさらに場合分けを行い),この世代間に2つの遺伝子座(疾患遺伝子座とマーカー遺伝子座)間で組み換えが行われた確率を,θ,行われずに伝わった確率を,(1−θ),として,これら対立遺伝子が家系に配分された尤度を計算する。

 最初にID4のハプロタイプに注目したのは,このメンバーが唯一上の核家族のメンバーとなるからである。4つの組み合わせのうち,この罹患男性(ID4)のとり得るハプロタイプは<A>(A-1 / N-4)もしくは<B>(A-4 / N-1)の2通りだけということが判る。

 ID4だけに注目し,彼が罹患している事実と,疾患遺伝子の浸透率から考えると,疾患遺伝子座がAAという場合も考えられる。しかし,核家族内のメンバーまで含めて考え直した時,非罹患の子供(ID7)がいることでID4がAAを持つ可能性はないことが判明する(ID4がAAの場合は,ID7にもかならず最低一つのAが行くことになるのでID7が発症してないことと矛盾するため)。このように,手計算の場合,総ての組み合わせをリストアップしたのちに,家系矛盾の起きるものを除去し,矛盾のない組み合わせだけについて計算を進めると効率がよい。

 次ぎにID4の持つハプロタイプが<A>のときに,ID6の罹患女性に疾患遺伝子座,及びマーカー遺伝子座で各アレルがどのように動いたかを考えてみる。ID6の女性の持つ2つのマーカー対立遺伝子,1,4はそれぞれ片親から1つずつ受け継いだものである。この事実を考慮すると,各アレルはどちらの親から受け継いだものかが(この場合に限っては)一義的に決まる。すなわち,アレル4が父親から,アレル1は母親由来である。もし一義的に決まらない場合には可能な組み合わせの数だけ場合分けをして考えることになる。

 ID6は罹患しているので,A遺伝子を受け継いでいる,さらに父親からアレル4を受け取ったので,この受け取ったハプロタイプは,A-4であるということになる。父親(ID4)のハプロタイプは(A-1 / N-4)であるので,この場合父親由来の染色体は減数分裂過程で2つの遺伝子間において組み換えが行われたことになる。

このID6の観察データの尤度は,
・ 父親でのハプロタイプが組み換えを起こす確率: θ
・ 父親の組み換えハプロタイプから(A-4)が選ばれる確率: 1 / 2
・ 母親から,マーカー対立遺伝子,アレル1(N-1)が選ばれる確率: 1 / 2
により,(1 / 2)2θ と算出される。

 同様にID7について考えると,この非罹患女性は, 父親からN-1(=組み換えあり),母親からはアレル1(N-1)を受け取ることが判る。 このID7の観察データの尤度は,
 ・ 父親のハプロタイプが組み換えを起こす確率: θ
 ・ 父親の組み換えハプロタイプ(N-1)が選ばれる確率: 1 / 2
 ・ 母親から,マーカー対立遺伝子,アレル1が選ばれる確率: 1 / 2
により,(1 / 2)2θ と算出される。

 これら2人の子供(ID6,ID7)の観察データの尤度はID6の観察データの尤度とID7の観察データの尤度の積で表される(この核家族全体の観察データが得られる事象に対して,これら2人の子供たちの観察データの事象が同時に起こることであり,子供の事象は互いに独立だから)。

よって,この父親(ID4)のハプロタイプが<A>の(A-1 / N-4)である場合のこの核家族の観察データの尤度は,
(1 / 2)2θ・(1 / 2)2θ = (1 / 2)4θ2

同様にして,この父親(ID4)のハプロタイプが<B>の(A-4 / N-1)である場合のこの核家族が存在する尤度は,
(1 / 2)2(1−θ)・(1 / 2)2(1−θ) = (1 / 2)4(1−θ)2

以上の計算によって,ID4を父親,ID5を母親とする核家族の持つアレル情報,罹患情報の尤度は,ID4の2種類のハプロタイプのそれぞれの事象に「畳み込まれた」ことになる。

 次ぎに,ID1,ID2を両親とする核家族を考える。ここで,罹患しているID2について,先のID4のときと同様に2つの遺伝子座(疾患遺伝子座とマーカー遺伝子座)のハプロタイプを考える。ID2の持つハプロタイプは<C>(A-3 / N-4)もしくは<D>(A-4 / N-3)の2通りだけということが判る。( A-3 / A-4)を考えなくてよいのは,ID4の場合と同様の理由による(子供に非罹患がいることより)。

 ここで,ID4で考えられていたハプロタイプ<A>と<B>との組み合わせを考える。両親から子供へは1つずつの配偶子が移ることを考えると,組み合わせた4種類のうち,<C>−<B>と,<D>−<B>のみが実際に核家族で生じる可能性のある組み合わせであることが分かる(罹患母親由来の,疾患遺伝子と連鎖できるマーカー遺伝子座の対立遺伝子は,組み換えが起こる起こらなくても,アレル3かアレル4だけだからである)。

そこで,<C>−<B>と,<D>−<B>についてのこの核家族の観察データの尤度を求める。

 <C>−<B>の時には,ID3は父親からアレル2(N-2), 母親からはN-4,(=組み換えあり)を受け取ることが判る。 以上のことよりこのデータの尤度は,
 ・ 父親からマーカー対立遺伝子,アレル2が選ばれる確率:1 / 2
 ・ 母親のハプロタイプが組み換えを起こさない確率:(1−θ)
 ・ 母親のハプロタイプから(N-4)が選ばれる確率:1 / 2
により,(1 / 2)2(1−θ)と算出される。

 同様にID4について考えると, 父親からアレル1(N-1), 母親からはA-4,(=組み換えあり),を受け取ることが判る。 このID4のデータの尤度は,
 ・ 父親からマーカー対立遺伝子,アレル1が選ばれる確率:1 / 2
 ・ 母親のハプロタイプが組み換えを起こす確率:θ
 ・ 母親の組み換えハプロタイプから(A-4)が選ばれる確率:1 / 2
により,(1 / 2)2θ と算出される。

 さらにID4には,彼が親となった核家族のデータの尤度(状態<B>である尤度)(1 / 2)4(1−θ)2が畳み込まれている:
これを考慮すると,このID1,ID2が両親の核家族において<C>−<B>での観察データの尤度は,
(1 / 2)2(1−θ)・(1 / 2)2θ・(1 / 2)4(1−θ)2 = (1 / 2)8θ(1−θ)3

 同様にして,ID2のハプロタイプが<D>(A-3 / N-4)である場合の<D>−<B>の観察データの尤度は,
(1 / 2)2θ・(1 / 2)2(1−θ)・(1 / 2)4(1−θ)2 = (1 / 2)8θ(1−θ)3

 状態<C>と,状態<D>の尤度に関するデータはないので,これらの2つの状態をとる確率は等確率であると考えられる(1 / 2)。 この家系全体の観察されたデータのトータルの尤度は,
(1 / 2)・(1 / 2)8θ(1−θ)3+(1 / 2)・(1 / 2)8θ(1−θ)3  =(1 / 2)8θ(1−θ)3

(2つの事象の尤度を加えるのは,この2つの事象が背反事象だから) 最尤法では通常尤度比(自由組み換え(θ= 0.5)の尤度に対する尤度)を用いて0 ≦θ< 0.5において尤度比が最大になるθを求める。微分関数による極大値計算によりこの場合はθ= 0.25の時に尤度比最大となり,1.6875となることがわかる。(LOD(Logarithm of odds)値は,0.22724)。


[例2]
 一般に測定データの中に未知データが含まれている時には,マーカーのアレル頻度に応じて,各対立遺伝子が存在したときの尤度を計算し,これらの対立遺伝子対の存在確率に応じてその組み合わせである時の尤度の和から全体の尤度を計算する。図2に示されている家系2においては,ID2のマーカー遺伝子の遺伝子型が決定されていない。この家系で測定したマーカー遺伝子座での各対立遺伝子は集団に3つ(アレル1〜アレル3)存在し,それらの頻度を0.1,0.1,0.8 と仮定しよう。

 このような未決定マーカー遺伝子が存在する時には,この未決定者にアレル頻度に応じて対立遺伝子が入ると仮定する。もし自由にID2にアレルが入るとすると,遺伝子型は,1/1,1/2,1/3,2/2,2/3,3/3の6種類である(1/2,1/3,2/3,については逆,2/1,3/1,3/2もあるコトも考慮して)ここから計算される各遺伝子型の確率は,0.01,0.02,0.16,0.01,0.16,0.64,である。

 ID2に入る組み合わせについて,この家系内で実際に可能なアレルの組み合わせを選別する。ID3,ID4がアレル3を持つ事と,ID1がアレル3を持たない事から,アレル3がID2に必ず存在する必要がある。また,ID5がアレル1とアレル2を持つことからこれらの片方がID2から来ている事が考えられる。すなわち,アレル3を持たない,1/1,1/2,2/2,とアレル3しか持たない3/3はこの核家族内の各メンバーの対立遺伝子を含めて考えたとき,あり得ないという事が判る。可能性のあるID2のアレル対は,1/3,2/3,のみである。手計算を行うに際しては,「あり得ない組み合わせ」は最終的に尤度が0(=あり得ない)となるので,最初から余計な組み合わせを考えないようにして計算過程を簡略化させていく。

 さて,ここで例題1の手順に従って,原因遺伝子を持つと考えられる,ID1のハプロタイプを場合分けして考える,この場合,<A>(A-1 / N-2),<B>(A-2 / N-1)の2通りに場合分けできる。それぞれの場合において,ID2については,先ほど有効であった場合分け,<C>1/3(実際は, N-1 / N-2),<D>2/3(実際は, N-2 / N-3)からの4つの組み合わせであり,それぞれの場合において,観測データが得られる尤度を計算する。

 <A>−<C>について,ID3については,ID1から組み換えハプロタイプ(A-2)が,母親からはアレル3(組み換えあるなしは関係なし)がくるので,この尤度は,(1 / 2)2θと算出される。 ID4については,ID1から組み換えハプロタイプ(N-1)が,母親からはアレル3がくるので,この尤度は,(1 / 2)2θと算出される。 ID5については,ID1から組み換えハプロタイプ(A-2)が,母親からはアレル1がくるので,この尤度は,(1 / 2)2θと算出される。

これらより,ID3,ID4,ID5の子供が生まれる確率(=この核家族についての全体の尤度)は,
(1 / 2)2θ(1 / 2)2θ(1 / 2)2θ = (1 / 2)6θ3

同様に<A>−<D>についての家系観測データの尤度は,
(1 / 2)2θ(1 / 2)2θ(1 / 2)2(1−θ) = (1 / 2)6θ2(1−θ)

<B>−<C>については家系観測データの尤度は,
(1 / 2)2(1−θ)(1 / 2)2(1−θ)(1 / 2)2(1−θ) = (1 / 2)6(1−θ)3

<B>−<D>については家系観測データの尤度は,
(1 / 2)2(1−θ)(1 / 2)2(1−θ)(1 / 2)2θ = (1 / 2)6θ(1−θ)2

 各場合の起こる確率を計算する。事象<A>,<B>はハプロタイプ情報がないので,等尤度と考えて,0.5,0.5とする。また,<C>,<D>は,先ほどの各アレルの頻度より,0.16,0.16である。 よって,<A>−<C>,<A>−<D>,<B>−<C>,<B>−<D>の起こる確率は,0.08,0.08,0.08,0.08である。

 以上より,この家系での観測データの得られる全体の尤度は,各場合分けした尤度に起こり得る確率をかけた上で和をとり,
0.08 x(1 / 2)6θ3 + 0.08 x(1 / 2)6θ2(1−θ) + 0.08 x(1 / 2)6(1−θ)3 + 0.08 x(1 / 2)6θ(1−θ)2
= 0.08 x(1 / 2)6 { θ3 + θ(1−θ)2 + θ2(1−θ)+(1−θ)3 }

最尤法によって自由組み換え(θ= 0.5)の尤度に対する尤度比が最大になるθ( 0 ≦θ< 0.5 )を求める。この場合θ= 0の時に尤度比最大で,2.000となる(LOD値,0.30103)

 プログラムを利用したパラメトリック連鎖解析法 (MLINK / LINKAGE package)

 各種の連鎖解析ではアルゴリズムの発表と同時にプログラムも公開されている。ここでは,パラメトリック連鎖解析に用いられるプログラムである,LINKAGE packageを用いてパラメトリック連鎖解析を行う方法を紹介する。

 LINKAGE packageは,Dr. Ottのグループによって開発されたプログラムパッケージである。ここでは,MS-DOS上で動かせるソフトの導入から実際の使用までを解説する。

(1) パッケージの取得

 インターネット環境マシンを用意し,パッケージの置いてあるサーバーから目的のソフトウエアをダウンロードする。連鎖解析関係の解析プログラムはロックフェラー大学のWWWサーバー ( http://linkage.rockefeller.edu )に非常にわかりやすい形でまとめられている。ここを起点にして,自分の使いたいプログラムを入手する。

(2) LINKAGE packageのダウンロード

 「LINKAGE ANALYSIS PROGRAMS: LIST」より, LINKAGE - auxiliary programs FASTLINK を入手する。 FASTLINKはLINKAGEの改良版で,高速処理が可能になっている。今回はMS-DOS版を用いて解析を行った。

(3) LINKAGE packageのインストール

 圧縮ファイルを解くと実行形式(〜.exe)のファイルが出てくる。今回例題とした単点解析に用いるのは,mlink.exe, unknown.exe,(これらはFASTLINKに含まれている),及び makeped.exe, preplink.exe,(これらは, LINKAGE - auxiliary programsに含まれている)である。

(4) 解析方法 (概論)

 解析のための大まかな流れを示す(図3)。 最初に,家系データと遺伝子型データを示したファイル(prefile)と,マーカー遺伝子座や疾患遺伝子座についての情報,浸透率等を定義したファイル(datafile.dat)を作成する。それぞれのファイルはテキスト形式ではあるが,後に使用するプログラムが読み込むために特殊な形式で書かれている。これらのファイルを作るためのプログラムとして,makeped.exepreplink.exeがある。makeped.exeprefileからpedfile.datを作成するためのプログラムである。このプログラムに入力するための家系ファイルはprefile形式と呼ばれる,入力に簡単な形式で記述しておく。一方,preplink.exeは,対話形式で,datafile.datを作成していく。

 prefile形式は,家系データを記述するための一形式である。Linkage packageだけでなく,ノンパラメトリック連鎖解析ソフトである,Mapmaker/SibsやGeneHanter等でもこの形式での入力が利用できる(いわゆるLinkage形式)。行(row)に一人のデータを記述させ,列(column)毎に入力項目がある,1列めに家系の番号(数字または文字),2列めは個人ID(以降,数字のみ),3列めは父親のID(親が家系ファイルに記述されていない場合は0),4列めは母親のID(父親の場合と同様),5列めは性別(男性1,女性2),6列めに疾患の有無(罹患2,非罹患1,不明0),以降2列ずつマーカー遺伝子座のアレル番号(不明な場合は0)となる。以下に具体例により示していく。



[例1]

 図1に示された家系について,プログラムを用いて解析してみる。まずはprefileを作成する。はじめに図1の家系メンバーのIDナンバーを用いてprefileデータを記述していく。この家系のprefileは次のように記述される。このデータをテキスト形式でprefile.datとして保存して,makeped.exeにかける。出力ファイルは,pedfile.datとする。

 window上から,makeped.exeを起動すると,DOS窓が開き,makeped.exeが起動する。ここで入力ファイル名,出力ファイル名等を入力していく。


Pedigree file -> ./prefile.dat

Output file   -> ./pedfile.dat



Does your pedigree file contain any loops?    (y/n) -> n



Do you want probands selected automatically?   (y/n) -> y

 ここでpedfile.datが出力される。 できたpedfile.datの中身には次のように記述されている。

 次に,preplink.exeを動かしてdatafile.datを作成する。 preplink.exeによってdatafile.datを作る具体的手順はやや煩雑なので,以下に概要のみを述べることにする。実際にソフトを動かしながらやってみてほしい。

 まず,preplinkを起動する。我々は,疾患のあるなしに関する遺伝子座とマーカー遺伝子座の二つを定義したい。preplinkでは(a) binary factors, (b) quantitative trait, (c) affection status, (d) allele numbers の4つのタイプのlocus typeを選ぶことができる。ここで,疾患のあるなしの遺伝子座として(c)を,マーカー遺伝子座として(d)のタイプを選ぶ。

 疾患のあるなしの遺伝子座については(a) number of allelesを2に(b) number of liability classesを1に,浸透率(penetrances)についてはgenotype 1 1に0,genotype 1 2に1,genotype 2 2に1(即ち完全優性で,1が正常アレル,2が疾患アレルとなった)を入れ,(d) gene frequencyを0.999 0.001 (即ち,極めて稀な遺伝病遺伝子で疾患アレル頻度は0.001)とする。

 マーカー遺伝子座については,(a) number of allelesをこの場合は4に,gene frequenciesをそれぞれ0.25とする(実際の集団の頻度が判っている場合はそれを入れる)。ただし,家系に遺伝子型が未知の個体が無い場合はgene frequenciesは全く関係ないので入れても無駄なのだが,その場合でも一応値は入れておく。 ここで,二つの遺伝子座のそれぞれの定義が終わったことになるが,引き続き他の条件を入力する。(b) Sexlinked (N),(c) Calculate Risk (N),(d) Mutation (N),(e) Haplotype frequencies (N),(f) Locus Order (1 2),(g) Interference (N),(h) Recombination sex difference (N),(i) Program used (MLINK),(j) Recombination values (0.100)はdefault value (かっこの中)でよい。

 ここで,(f) Locus Orderは定義した遺伝子座の初期の順番で1は疾患のあるなしの遺伝子座,2はマーカー遺伝子座がこのようにならんでいることを示す。マーカー遺伝子座が2つ以上あるときは(我々の場合には1つである),例えば1 2 3などとする。この場合は遺伝子座の順番は初期値で,1の疾患のあるなしの遺伝子座を2の左,2と3の間,3の右というふうに順番に動かしていく(例えばlinkmapプログラム)。(j) Recombination valuesはこれらの遺伝子座の間の組み換え割合であるが,defaultの0.1とは,疾患のあるなしの遺伝子座とマーカー遺伝子座の間の組み換え割合の初期値が0.1であることを示す。これはmlinkのプログラムの中で変化させるので,これは初期値である。マーカーが2個以上ある場合はRecombination valuesは,例えば0.1 0.08などとなる(疾患のあるなしの遺伝子座1とマーカー遺伝子座2の組み換え割合の初期値が0.1,マーカー遺伝子座1と2の間の組み換え割合の固定値が0.08であることを示す;Locus orderが1 2 3の場合)。

 preplinkによる作業はファイル名を入れて書き込めば終了である。出力ファイル名をdatafile.datとし,これを(ワープロなどで)読んでみると以下のようになっている。


 2 0 0 5  << NO. OF LOCI, RISK LOCUS, SEXLINKED (IF 1) PROGRAM 

  0 0.0 0.0 0 << MUT LOCUS, MUT MALE, MUT FEM, HAP FREQ (IF 1) 

   1  2

 1   2  << AFFECTION, NO. OF ALLELES

   0.99900  0.00100 << GENE FREQUENCIES

  1 << NO. OF LIABILITY CLASSES

  0  1.0000  1.0000 << PENETRANCES

 3   4  << ALLELE NUMBERS, NO. OF ALLELES

   0.25000  0.25000  0.25000  0.25000 << GENE FREQUENCIES

  0 0  << SEX DIFFERENCE, INTERFERENCE (IF 1 OR 2)

   0.00000000 << RECOMBINATION VALUES

  1 0.05000 0.50000 << REC VARIED, INCREMENT, FINISHING VALUE

次ぎに,unknown.exeを実行させる。unknown.exeは, pedfile.dat,datafile.datが存在する時に正しく動く。unknown.exeの実行により, さらに,ipedfile.dat,speedfil.datの2ファイルが新たに作成される。 最後に,mlink.exeを実行させる。 実行が終了すると,final.dat,outfile.dat,stream.datファイルができる。 outfile.datに各θでのLOD値が算出されている。( 0≦θ<0.5,0.05おき) これらの値をまとめると下記のようになる


---------------------

theta         LOD

---------------------

0.000       -infinity

0.050       -0.163739

0.100        0.066848

0.150        0.168468

0.200        0.214420

0.250        0.227244

0.300        0.216535

0.350        0.186928

0.400        0.140634

0.450        0.078421

0.500        0.000000

---------------------

これよりこの検討においてはθ= 0.250のときに,LOD値が最も大きくなり,0.227244となった。今回用いたmlinkでは,θを一定値間隔で動かしてLOD値を求めていくので,これだけではθ= 0.250において最大であるかどうかは判らない。ilinkを用いると最大LOD値を示すθを算出することが可能である。


[例2]

(図2)の家系図を元にして,prefile.datを作成する。この家系でのprefile.datは下記のようになる


 1  1  0  0  1  2  1  2 

 1  2  0  0  2  1  0  0 

 1  3  1  2  2  2  2  3 

 1  4  1  2  1  1  1  3 

 1  5  1  2  1  2  2  1

次にpreplink.exeを用いて,datafile.datを作成する。アレル数は3であり,アレルの存在比は,0.1 0.1 0.8 である。作成した,datafile.datは下記のようになる。


 2 0 0 5  << NO. OF LOCI, RISK LOCUS, SEXLINKED (IF 1) PROGRAM 

  0 0.0 0.0 0 << MUT LOCUS, MUT MALE, MUT FEM, HAP FREQ (IF 1) 

   1  2

 1   2  << AFFECTION, NO. OF ALLELES

   0.99900  0.00100 << GENE FREQUENCIES

  1 << NO. OF LIABILITY CLASSES

  0  1.0000  1.0000 << PENETRANCES

 3   3  << ALLELE NUMBERS, NO. OF ALLELES

   0.10000  0.10000  0.80000 << GENE FREQUENCIES

  0 0  << SEX DIFFERENCE, INTERFERENCE (IF 1 OR 2)

   0.00000000 << RECOMBINATION VALUES

  1 0.05000 0.50000 << REC VARIED, INCREMENT, FINISHING VALUE

makeped.exeにてprefile.datから,pedfile.datを作成した後,unknown.exe,mlink.exeを実行させる。得られた,outfile.datから各θでのLOD値をまとめると下記のようになる。

---------------------

theta         LOD

---------------------

0.000        0.301030

0.050        0.257679

0.100        0.214844

0.150        0.173186

0.200        0.133539

0.250        0.096910

0.300        0.064458

0.350        0.037426

0.400        0.017033

0.450        0.004321

0.500        0.000000

---------------------

これよりθ= 0.000のときに,LOD値が最大になり,0.301030となることが判る。 これら(例1,例2)のプログラムによる解析方法の結果は先ほど,手計算で行ったものと良く一致する結果であることが判る。


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